ボーリング柱状図(標準貫入試験)から得られる定数「N値」

 

 N値は、地層の硬軟、土の性質を判断することができ、ボーリングを併用した標準貫入試験より求めることができる。

 マンションなど荷重の大きな構造物を建てる際の基礎(直接基礎、地盤改良、杭など)の選択にボーリング柱状図や、N値が目安となり役に立つ。戸建住宅などでは、スェーデン式サウディング試験で十分なことが多い。

 所定の深度までボーリングを行い、あけられた孔底に標準貫入試験用サンプラーを設置し、63.5kgのハンマーを76cmの高さから自由落下させ、サンプラーが30cm貫入するのに要した打撃回数をN値という。

 標準貫入試験は、ボーリングと同時に比較的簡便に実施できるということもあり、我が国では最も多く利用されている方法である。この方法は、サウンディングとしての役割とともに、試料採取が可能である点が大きな特徴となっている。

 下図は深度1m毎のN値などの地盤情報を記載したボーリング柱状図である。

 利点:N値から地盤の硬軟が判断できる。一般的にN値30以上の砂質土、N値20以上の粘性土は支持層と判断できる。N値5以下は軟弱地盤。

 N値から多くの土の性質を推定できる。例えば、砂の内部摩擦角(φ=√(20N)+15°大崎式、粘性土の粘着力q=12.5N、水平方向の地盤反力係数E=700N、簡易的な液状化判定など。

 欠点①:N値は非常に利便性が高い調査方法であることから、この試験を実施しておけば他の方法による調査や土質試験は一切不要であるという偏った考えで利用してしまう。

 例えば、N値5の砂質土は非常に緩い状態を意味し、液状化の可能性もあるが、同じN値5の粘性土は硬く、地表面近くに存在する洪積層では100kN/m2以上の地耐力を有する一応安定した地層である。同じN値の持つ意味が非常に異なる点に注意が必要である。また、沖積粘性土ではN値0と測定されることも多いが、一軸圧縮強さ20~60kN/m2程度あることもある。

 欠点②:地盤は不均質でばらつきのあるものであるため、ボーリングデータ数が少なくボーリング間の距離が長くなると、その間の地盤断面の予測精度は低下する。ボーリングを実施した地点のみが確実な地層であることを認識する必要がある。(杭の場合、支持層の傾斜や不陸に注意)、ボーリング調査数を増やすことで予測精度をあげることができる。ただし、調査費用、調査時間が膨大になる恐れがある。

 ボーリング柱状図のN値からは地盤の硬軟がわかり、地盤改良、杭の必要長さを判断できる。また、N値から多くの物性値(内部摩擦角,粘着力,一軸圧縮強度,変形係数など)を推定でき便利である。

 一方で、N値だけに頼った地盤調査は地盤リスクを見落とす恐れがある。他のサウンディング試験、室内試験と合わせて総合的に地盤を判断する必要がある。

 

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